「笑ってないで助けてよ。」
ティガーさんが会計をしている間、
ジョーに詰めより文句をブーたれる。
ついでに次はどうするかも聞いておく。
思ったとおり彼もまだ帰りたくないらしく、
違うデパートで雑貨を見に来たいと主張している。
よしきたってんで、次のデパートへ車ごと移動することに決定。
が、ここで問題発生。
ティガーさんがまだ私たちについてくるということだ。
私は正直もうこれ以上は一緒にいたくない。
と、なるとここでここで体よく帰ってもらうのが、私の希望。
でも…
帰れなんて言えないし(小心者)、
かといってこれ以上一緒にいたくないし。
そうだ。会計を済ませ戻ってきたティガーさんに、私は言った。
「今からジョーと私
は他のデパートで雑貨を見るんですけど、ティガーさん
はどうします?」
ジョーと私
はの部分。
ここは2人で行くということを強調した。
ティガーさん
はどうします?の部分では、
2人はデパートに行くけど、あなたは?ということを言いたい。
さらにポイントを言えば、
「一緒に行きますか?」とか、誘っていないことも指している。
どうするか?→帰りますの流れを私としては狙っている。
われらがティガーさんの反応は、
「あ、僕も行きますよ。雑貨見たいんで。」
愕然。
なんでこーなるのよぉ。またしても作戦失敗。
渋々、かなり渋々ティガーさんを連れていくことになった。
全くちゃんと「帰れ」と言い切れない私が情けない。
レシートを持って、サービスカウンターへ向かった。
ここはレシートの合計金額の高さによって、駐車場の料金を値引いてくれるのだ。
「あと、300円でタダになるんですが。」
帽子をかぶったきれいなねーちゃんが残念そうに教えてくれる。
しかし昨日からBBQやらご飯代やらカラオケ代、映画料金とかなりの浪費を続けてきた私たち。
300円とは言えども、ちょっと厳しい。
かと言って、それ以上かかる駐車料金なんて払いたくもない。
できれば、金をかけずにタダでここを乗り切りたいところ。
ふと後ろを見れば、ティガーさんと31の文字。
シシシ。
ティガーさんに300円払ってもーらおっと。
どうせ無理やり(?)付いてくるんだから、
300円払わせるくらいいいよねv「ティガーさん、クレープ今食べてください。」
すぐさまティガーさんにクレープを食べさせ、レシートだけむしり取る。
ティガーさんは大好きなクレープが食べれて、
私たちは300円払ってもらえて、双方に利害が一致。
これでいい。(おい)
ティガーさんもちょっと(300円分)は役になったなと思いつつ、次のデパートへ。
車を降りて、雑貨屋に入る。
すぐさま一人行動を始める女がひとり。
実は私、紫乃。
無類の雑貨好きなのよ。
お金がないからあんまり買ったりできないけど、
暇さえあれば、ドライブついでにいろんな雑貨屋をめぐっている。
はぅん。。。
どうして雑貨屋さんは、こんなに胸をキュンとさせてくれるものばかりなんだろう?
役に立たないとわかっていても、どうしても欲しくなる。
ギラギラと雑貨を見回っていたら、
どうやらティガーさんに四六時中付いて回られたらしいジョーが、
減なり気味で隣に座り込む。
ここぞ、とばかりにジョーに悪い知恵を吹き込み始める。
「ねぇティガーさんって、いる?」
「いや、俺は2人の方がいいんだけど。」
やっぱりー!!?
やっぱりね。
私もそう思ってたのよ、そうよねそうよね。
ティガーさん邪魔よね(そこまでは言っていない)。あまりにティガーさんが邪魔だと思いすぎて、
ジョーの「2人がいい」に反応しなかった。
今思えば、ちょっと腰をくねらして照れの1つでもするところだったんだろうけど。
全く女の子失格である。
「この後ご飯食べたいんだけど。」
ティガーさんのことも気にしつつ、おなかの減り具合も気にしてみた。
そうなのだ、昨日の夜から私たちは何も食べてない。(ティガーさんはクレープ食べてたけど)
そろそろここで、一発ご飯でもがっつきたいところ。
私たちはラーメンが食べたいと話し始めた。
そこへタイミング悪く、ティガーさん登場。
聞いてもいないのに
「僕は寿司が食べたいです。」
なんて言い始めた。
生憎だけど、二人の心はすでにラーメンへ一直線。
値段も味も全く違う寿司には、心を惹かれることなんて微塵もないのだ。
しかし、ごっちゃん体質のジョーは
「ティガーさんが奢ってくれるなら行きますよ。」
とうまいこと言う。
確かに、私も彼が奢ってくれるのならば寿司も食べてもいい。(上から目線)
奢りでお寿司。
素敵な響きだと思っていたら
「それはちょっと今日は勘弁してくださいよ。」
ヘタレめ。
ベルトコンベアに乗った寿司でいいのに。(回らないお寿司を奢ってもらうつもりだったらしい)結局深夜、駆け込んだのはいつものラーメン屋さん。
3人で妙に広い場所にて啜る。
はぁ最後までティガーさんついてきたな。
ちょっとナーバスになっていると、そういえばと思い出した。
さっきデパートで、
ノリついでに早めの花火を購入していたのだ。(当時は6月)
チャ―ンス、到来。
今度こそ、ティガーさんには離れてもらうわよ!
ティガーさんの隣に座りたくない。
その思いが通じたのか、
話題になってるわりには客の入りも疎らでティガーさんの斜め後ろに座る私。
私の2つ隣に座るジョー。
今思えば、これが3人の心の距離だったに違いない。
で、見終わった感想は
ティガーさんの後ろで見たくなかった…。
だってさー女の人2.3回ヌーディなシーンがあったからさ。
彼は何とも思ってなかったかもしれないけど、
私としてはなれない、しかもティガーさんと見るにはちょっと辛かった。
そこから、3人でデパート兼駐車場へ移動。
ここでもティガーさんは邪魔になる。
せっかくあのシーン面白かったねってジョーと2人で盛り上がりかけてたら、
急におっぱいの話に持っていったりして、
全く違う方向に話が飛んでいく(空気読め!)。
くっそー、どうにかしてティガーさん
だけどっか行かないかなー。
下りのエスカレーター前で、一人作戦会議。
するとティガーさん
「僕、クレープが食べたいです。」
しめた!!
これはティガーさんと離れるチャンス。
このデパートには“31アイス”が1階にあって、そこにはクレープも売っている。
しかも駅が目の前。
クレープを買いに行った隙に2人で違う売り場(階)にでも行けば、、、
「あれ、2人ともどこ行ったんですか?」
てなって、そのまま帰る羽目になるだろう。
ウシシシ。
よし、この作戦で行こう。「あ、31があるから食べてきたらどうですか?」
邪(?)な私がチョチョイとティガーさんの欲望を満たす言葉を発する。
するとクレープが大好きなティガーさん、案の定
「そうですか、じゃあ行ってきます。」
と、素直にくるりと方向転換。
そのままエスカレーターに乗って、地下に下りて行った。
シシシ、大成功大成功。って、
え!?
31は1階ですけど。
この階ですけど。
地下じゃないんですけど!!ぽかん・・・と、ティガーさんの消えゆく頭を眺める二人。
「…間違ってるけど、置いてっていいよね。」
「置いてこか。31が1階ってこと知らんのんちゃう?」
悪いとは思いつつも、置いていくことをあっさり承諾するジョー。
あなたも邪魔だと思ってたのね。(笑
いつも間にか心が一つになってることに感動しつつも、
ティガーさんを容赦なく置いていく。
すぐさま2階、3階と上がって二人で洋服を見始める。
と、なんだかすっごく心地がいい。
ティガーさんがいなくなったせいもあるかもしれないが、
それ以上に会話のテンポが、隣にいる感触(?)がものすごく噛み合っている。
やばい、いい。
4回に来るころには、ジョーと紫乃は意気投合。
大学の仲間を通り越してプライベートの友達に私の中では発展、急上昇。
女の子でもここまで話せて楽しめる友達は少ない。
もっと話したい!!
そしたら、ティガーさん邪魔だよなー。
ティガーさん帰ってくれればいいのに。
そしたら、もっと二人で話して楽しい時間が過ごせるし…。
あ、そうか。
「もう2人とも車乗って帰ってるんで、すみません。」
とかなんとか言っちゃって、
かわいそうだけど彼には1人で帰ってもらえばいいんじゃない?
駅は目の前だし、
別に私が送ってきたんだから送らなきゃいけないなんてないし、
しかも彼、24歳でおっぱい星人だし、
それでなくても一緒に歩きたくないし友達にそんな場面見られたくないし。
このままバックれれば、
彼に見つからずに済むんじゃない?
でも、そんなこと言ったらジョーは私が気があるとか思うかな?
でもなーティガーさんとここ、歩きたくないし。。。思いを巡らせているうちに、
ジョーの携帯にティガーさんからメール。
『今どこですか?』
ときた。
やばい、これは非常にやばい。
このままでは、ティガーさんが合流してしまう。
それだけは避けたい。
今、この2人での状況を私は楽しみたい。どんどん気持ちは膨らんで爆発。
すばやくジョーに意見する。
「ティガーさんに、『もうデパートにはいないから、自分で帰ってください』って送ってみてよ。それで帰ったら面白くない?」
悪魔・紫乃、ここに誕生。
自分でもよくもまぁペラペラと言葉が出てくるなぁとは思ったが、背に腹は代えられない。
もう私の頭の中は、ティガーさんに帰ってもらうことしか考えていないのだ。
その割には、
「面白くない?」なんてギャク的要素を入れて、
ジョーが乗りやすくしているところが、イヤラシイ。
そんな思惑も知らず、
案の定、面白いと言って身を乗り出すジョー。
ブラックジョークもいけるようだ。
「よし送ろう、送ろう。」
ショーケースの前でティガーさんに、
『帰れ』と真意の籠ったメールを打ち始めた瞬間、
見慣れた中途半端なおぼっちゃま刈りが顔を出す。
もう数分遅ければ・・・私の計画をすべて破綻させたのは、われらがティガーさん。
「やっと見つけましたよ。」
といつものイヤラシイ顔で近付いてくる。
もしこの世にタイミングが読めない男選手権があれば、
必ず彼は上位にランクインだ、絶対だ。
KYめ!!
あと1歩のところで現れたティガーさんに、
ジョーも笑いを逃したと不満気味。
が、来てしまったものは仕方がない。
仕方がないついでに一緒に服を見て回る。
「紫乃さん、紫乃さん。」
呼ばれて振り向いてみれば、
妙にむくんだ顔したアンパンマンもといティガーさんが服を2枚持ってこっちを見ている。
「これと、これ。 どっちがいいと思いますか?」
し、しらねーよ。
別にどっち着ようが、顔は変わらんよ。
なんで彼女でもない私がアンタの服なんか見立てなきゃならないんだ!!が、そんなこと言えるわけもなく、
黒のシャツになんか、金のストライプが入っているやつを選んでやった。
こっちを見ながら、遠くで笑いを堪えるジョー。
最悪だ。
これ以上ティガーさんとは、いたくない。
固く胸に誓う紫乃。
果たしてこの後、ティガーさんを捲くことはできるのか。(続く)